風邪気味

 また若干体調を崩した。喉に違和感がある。なんだか最近こういうのが多い。

 

 海外から帰ってきたあとによく風邪をひいていたが、今回は違う。今月の頭に海外には行ったが、もう月も末である。だから海外のせいではない。海外のせいにしたい気持ちはあるが。

 

 これだけ風邪をひくと、自分がひょっとして病弱なのではないかという気がしてくる。が、これまでの経歴を思い返して、たぶん違うと気づく。というのもいたって単純、わたしは大病をしたことはこれまでにないし、その予定もないからだ。まあ、予定して大病になるやつはいないのだが。

 

 風邪はそれなりにひく。最近ひきすぎなような気がするが、昔からひかなかったわけでもない。熱が出て一週間くらい学校を休むことも、毎年とは言わないまでも、二年に一度くらいはあった。そういうものである。

 

 理由は明らかだが最近、世の中の風邪というものに対する認識が変わった気がする。いまのわたしのような、パソコンの前でなら元気に動ける程度の熱でも、休むのが推奨されるようになった。ほかのひとにうつすと良くないからだ。良くないと強く認識されるようになったからだ。

 

 おかげで病人は、好き放題に休めるようになった。その共通認識に甘えることで、外に出ない口実を作れるわけである。ズル休みはいまや正当な理由である。自分のためではなく、他人のための休みなのだから。

 

 という感じになっているから、風邪気味を風邪と認識するハードルは、ずいぶん下がっている気がする。

 

 最近、風邪をひくことが増えた。だがこれは、認識の変化のせいかもしれない。風邪気味もすべてひっくるめて風邪と理解することで、そう理解していなかったころと比べて、風邪をひくことが増えた。

 

 だから、まるでわたしの身体が弱くなったように感じているこの理解は、もしかすると、わたしの精神がある意味で弱くなったということなのかもしれない。

 

 わたしは病弱ではない。病弱であるということがどういうことなのかをわたしは小説やアニメの中でしか知らないが、すくなくともそういう病弱さとは無縁だ。突然貧血で倒れないし、体育の授業を見学しないし、病院が半ば家みたいになっていたりしない。

 

 ただそれなりに風邪をひく。だから特別丈夫なわけでもない。

 

 この程度の風邪はどうにでもなる。普段より疲れるが、気合で乗り切れる範囲でもある。そして家から出ない限り、風邪気味を気合で平常と言い張っても、だれも文句は言わないはずである。