再設定

 旅先で精神が忙しいから、最近書いていたテーマを中断すると昨日、わたしは宣言した。結果、書くことがなくなって、毎日新しく題材を考え出さなければならなくなり、日記にかける時間が増えた。はっきり言って、馬鹿である。

 

 テーマを考えるのは難しい。だから夕食と風呂を終えると、わたしはしばしばパソコン上の編集画面を前にしばらく座り込み、あれやこれやを反芻して時間を過ごす。あるいは題材探しが面倒だという気持ちで、ツイッターや野球速報に逃げる。そうやって時間を浪費してもとくに困らない生活を普段のわたしはしており、そうして結構な時間を無駄にしているにもかかわらず、そのことに無頓着でいる。

 

 だからわたしはあんな頓珍漢な決断をする。旅先でやるべきことはまず作業の効率化のために、テーマを固定することだというのに。これまでに持っていたテーマがおのれの想像力との対話を必要としたり、語彙力の勝負を仕掛けてきたりしたとしても、それは比較すればたいした問題ではない。終着点を決めない物語の慣性にただ従うというのは、それが慣性である以上、一番楽な執筆行為である。

 

 明日からはもとのテーマに戻そう。ヒロインの描写だ。せっかくだから明日からは、また新しいタイプのヒロインを描いてみることにする。旅先で新たなことを始めるのは少しばかり難しいけれど、その労力はわたしが馬鹿でなければ発生しなかったはずの労力である。