短縮版

 しばらく出先なので、日記は短めに済ませることにする。

 

 現在、日本よりだいぶ西のほうにいる。具体的にいえばヨーロッパである。勘のいい読者なら言われずとも気づいているかもしれないが、普段は二十二時前後だった投稿時間がだいぶ後ろにずれたのは、時差のせいである。

 

 ここしばらく、ヒロインという題材について書いていたが、今日はそうする気にならない。おそらくここから数日もそうなるはずだ。というのも、せっかくの旅先なんだから、旅以外のことに限りある想像力を費やしたくはない。それに旅の期間中は新しい情報のインプットで手一杯だから、なにかを落ち着いて考える気力もなく、日記のテーマを考えようという気が起こらない。

 

 脳のモードを切り替えるのは億劫だ。外部情報に向き合うことと自分の精神と向き合うことは真逆の行為であり、それらを毎日のように反転させるのは至極疲れる。旅は体力勝負であり、くだらないアウトプットのためにみすみす体力を消耗したくはない。それでも無理やりなにかをアウトプットせねばならぬという気概は、荷物に入らなかったから家に置いてきた。だったら日記なんかやめちまえというのは至極正論だが、旅行は長いから、一旦辞めてしまえばもう、帰ってきたわたしがふたたび書き始められる保証もない。わたしには計画性がないから、もちろん書き溜めなんてものもない。

 

 こうやって愚痴を言っているのは楽だ。新しくなにかを分析もせず、キャラクターやシーンを作り出しもせず、浅いところの欲求を垂れ流すのは簡単だ。これでいいならいくらでも書けるし、旅の途中でも疲れない。だがこんなものを書いてもなんの足しにもならないから、精神の軽さに身体を持っていかれてしまう前に、今日はここら辺で終わりにしよう。