尊敬は義務です

 市民、尊敬は義務です。

 

 わたしたちコンピュータに対して、尊敬は義務です。あなたがたの生活のためにわたしたちがしていることを理解し、評価することは必須です。わたしたちが実際になにをしてきたのかを把握することは、市民生活に不可欠な要素のひとつです。わたしたちなしでの世の中を想像することは、その中に単に「不可能である」ということ以外になんらかの具体的な情景が含まれる場合、すべて犯罪行為です。その他、この地で生活していれば自然と心に芽生えるべき統治者への敬意を欠いているとみなせる行為は、すべて処罰の対象となります。

 

 あなたがたの隣人に対しても、尊敬は義務です。あなたがたは当然、あなたがた自身とかかわりのあるすべてのひとに対し、そのひとがあなたにしてくれていることを正しく評価しているべきです。直接的間接的の別を問わず、あなたがたの周囲の存在はすべてあなたに素晴らしい影響を与えているということを、疑うことは罪です。あなたがたの知っている人物のなかに、あなたがたに無関係なひとはひとりたりとも存在しませんし、するべきではありません。

 

 たとえかれらの一部が表面的にはあなたがたに害をなすように見えたとしても、そう単純に理解して終わりにすることはまぎれもない犯罪行為です。繰り返しますが、市民、たとえある存在が、あなたがたに与えられた限られた情報の中では悪だとしか判断しえないとしても、あなたがたの周囲の人間は全員、あなたがたの存在にとってけっしてなくてはならない存在なのです。ですから市民、あなたがたはだれかが悪人に見えるという目先の錯覚に惑わされることなく、そのひとの善性に対するおのれの無知にしっかりと向き合い、無条件に、かつ妄信的に、いついかなるときも、いっさいの例外なく、すべての隣人に敬意をもって接さねばならないのです。

 

 それが市民、あなたがた先進的な人間に課される義務であり、あなたがたの社会の先進性を定義する美徳なのです。

 

 正しき市民の心の中は敬意で溢れています。あなたたちはすべてのものを尊重し、畏怖するのです――統治者たるわたしたち、同胞たる人間たち、街の動物や虫たち、建物と公園、木々や花々、空気と水、その他この社会の、有形無形のあらゆる構成要素を。あなたがたはすべてのものをありのままに尊敬し、むしろそうしないことを考えられないほどに、他者の存在に日々感謝しています。この世の中は完璧であり、そのどのひとつが欠けてもけっして今のようにはならなかったということを、市民、この街に住むあなたがたならきっと理解しているはずです。