季節の変わり目

急に寒くなりました。てことで、そろそろ風邪を引く予定です。

 

改めて実感することですが、季節ってもんは意外と早く終わるんですね。これから暑くなるぞと身構えて、冷房をガンガンに聞かせて部屋で待機しているといつの間にやら九月、十月。暑さをどうにかしてやりすごすぞという決意はまだわたしのなかに残っているのに、肝心の暑さのほうはすっかり鳴りを潜めてしまって、気づけばいつ蝉の声が聞こえなくなったのかすら記憶にない今日この頃です。

 

さすがに今日くらい寒くなると、そういう認識は一気に覆ります。クーラーとともに暑さを乗り切る時期は終わった、終わったのですよおじいちゃん。もう十月ですよ、予定は全部パソコンに入力しているからとか言って、紙のカレンダーをめくらずに放置するのはやめようね。ちなみにわたしの部屋には確か三年くらい前のカレンダーがそのままかかっていたはずなんですが、いつの間にかなくなっていました。奴はいったいどこへ。

 

何の話でしたっけ。そうだ。冬です。冬がやってくるのです。

 

地球の自転軸というのはどうにもちょっと傾きすぎで、夏は暑く、冬は寒い。もうちょっと傾きが小さければ年中おなじくらいの気候で過ごせたのに、ひどい話です。わたしは年中を、暑さと寒さのどちらかに身構えながら過ごしています。そのどちらにも悩まされずに済む世界に生まれられたならば。あとついでに花粉にも。

 

で、存在しないことで知られるこの秋という季節は、実のところ季節でもなんでもない。夏と冬の緩衝地帯。夏と冬が連続していると不都合が生じるから、なにかを差し挟まなければならないわけで。それを便宜上、秋と呼んでいるだけです。だからこそわたしは、夏へと身構えていた翌日にはもう来るべき冬を警戒しておらねばならぬのです。世知辛い話だ。

 

えーと。はい。夏も冬も全部、いつの間にやら終わっているものとされていますが、あえて明確な定義を述べるなら、今日です。初めて寒いと感じた日、暑さよりも寒さを恐れるようになった日こそが夏と冬の境目。冬と夏の境目はもちろん、はじめてクーラーをつけたいと思った日です。なにせそれまで、エアコンと言えば暖めるものでしたからね。

 

あとそうですね。春も秋と同じように存在しませんが、春には別の定義がありますね。花粉症の薬を飲み始めてから飲むのをやめるまで。春風ならぬ鼻風邪とともに春は訪れ、もらった薬を飲み終えたタイミングで終わります。きわめて人間中心主義的な定義ですね。ちなみに先ほどの話と併せると、春は冬の一部です。極寒はもう訪れないと知りながら寒さにおびえ、けれど文字通り目の前により喫緊の課題がある。それが春、春です。

 

はい。というわけで本日をもちまして、冬です。もう暑さなんて怖くない。いいや。暑さは怖いですが、もう現実の問題じゃありません。現実に起こらないことは怖がっても仕方ない。そういうことです。死が怖くないのとだいたい一緒です。もう夏なんて知りません。誰よそれ。そんな季節、この世にありましたっけ?

 

まあ。それでは半年間、冬さんとお付き合いしようと思います。ではまた。