ルールの続き

日記をつけるにあたって、昨日いくつかのルールを設定した。ルールとは呼んだが、実際のところ私を縛るものではなく、むしろ許容するためのものだ。

 

ともあれ、咄嗟に設定したルールは穴だらけだ。ということで、今日はルールを追加することにする。準備にのみ執心して肝心の本番の前に力尽きる、というのは私が幾度となく通った道ではある。さっさと内容のある話を始めるべきかもしれない。ただ今は、文章に向き合う態度というものは単体ですでに思想と呼べる、とでも言い訳しておくことにしよう。

 

さて追加ルールその一、やったことではなく考えたことを書く。何時に起きた、何を食べた、そんなことを記録する価値があるとは思わない。私が恐れるのは、現在の私が消滅してしまうことだ。私の現在の思考回路を復元する手掛かりが、永遠に喪われてしまうことだ。実際に復元する必要はない――現在の思考がいつでも復元できる、と現在思えることが重要なのだ。

 

その二、一日のテーマはひとつに絞る。話が大きく脱線するようなら、それは翌日に回す。ごちゃごちゃな文章は好みではない。何より、書き足りないという不満が書き続けるための原動力になると期待している。

 

その三、同じような内容を複数回書くかもしれないし、内容同士が矛盾するかもしれない。日記を始めたのは、現在の私を繋ぎとめておくためだ。たとえそれが過去にも考えたことでも、その反対でも、その日に考えていたことを書けばよい。大切なのは新規性や整合性ではなく、その日の言葉で記述することだ。

 

では、あまり気負わずに書いていくことにしよう。私という複雑な体系を記述しようと張り切ったところで、結局私はそう複雑な存在ではないのだから。