2023-01-01から1年間の記事一覧

科学の定義 ①

サイエンス・フィクション。読み手としてそのジャンルを好きになったのは日記を書き始めるよりもだいぶ前だが、それを題材に文章を書くようになったのは、今年に入ってからだ。 なかでも興味を持ったのが、サイエンス・フィクションにおいて科学とはどういう…

スピード狂

鶏が先か、卵が先か。 とにかく猛スピードで話を進める体験をしてみたくなったから、そういう話を作った。あるいは、思いついたギミックをさっと書き切ってしまいたかったから、詳細を切り詰めて書くことにした。 どちらでも同じことである。世の中たいてい…

怒りの回想

昨日、わたしがあたかもここで怒りを表明したことがないかのようなことを書いていたが、よく考えたら怒ったことはあった。 とはいえそれは、いわゆる「怒り」とは違う。現実でむしゃくしゃして突発的に書いたものではない。だから、それを怒りと呼ばないこと…

怒りと規定

ここで怒りを表明したことは、思えばそんなにない気がする。 なかなかいいことだ。それはわたしが、この三年弱を平穏に過ごしたことを意味しているからだ。なにを書いてもいい場所に怒りをあまり書かなかったということはそのまま、わたしが現実の生活で、あ…

風邪気味

また若干体調を崩した。喉に違和感がある。なんだか最近こういうのが多い。 海外から帰ってきたあとによく風邪をひいていたが、今回は違う。今月の頭に海外には行ったが、もう月も末である。だから海外のせいではない。海外のせいにしたい気持ちはあるが。 …

まとめ ②

たぶん、文章を書くのは好きだ。 毎日のようにやっていると、好きなこともあまり好きだとは思えなくなる。だから好きなことというのは、続いていることという意味だ。そして日記は続いている。だから、きっと好きなのだろう。 その程度のあいまいな「好き」…

まとめ ①

ずっと書くことがない。 ここ一年くらいずっと、小説もどきを書いたり生活のことを書いたりしてごまかしてきたが、そろそろ限界である。 いや。限界というのは語弊がある。なぜかって、引き延ばすことはできるからだ。この三年弱でわたしが学んだのは、書く…

締切と裁き

トートロジーのようなものだろう。 締切は遅いほうがいい。遅いほうがいろいろと自由が利く。それが是非やりたい作業の締切だったら、遅いほうが細部にまでこだわり抜けるし、その作業を楽しんでいられる。やりたくない作業の締切だったら、遅ければそのぶん…

無記憶連鎖文

頭が動かない。 まるで脳が、ユーザーから命令が与えられるまでいつまでも待ち続けているメッセージボックスになってしまったみたいに、発想がどこにも飛躍しない。 普段はこんなではない。むしろ動きすぎて困るくらいだ。たとえば SNS やネット記事で見かけ…

スピード狂

鶏が先か、卵が先か。 とにかく猛スピードで話を進める体験をしてみたくなったから、そういう話を作った。あるいは、思いついたギミックをさっと書き切ってしまいたかったから、詳細を切り詰めて書くことにした。 どちらでも同じことである。世の中たいてい…

あらすじのような文章になっています

全体的にあらすじのような文章になっています。 説明不足が目立ちます。細部への想像力を働かせましょう。そうなったという結果は分かります、だがそこではいったいなにが、なぜ、どのように起きていたのか? という詳細を、読者は求めているのです。 とか書…

鎢 ②

このようにして人類は、自分たちはいまにも滅びる、滅びると何百年もの間片時も欠かさずに言い続けながら結局こんにちまで元気にそれなりの成功を収めてきたわけだが、その中にはほんとうの意味でいつ滅びてもおかしくないにもかかわらず、その存在を無視さ…

鎢 ①

すべてのカップルが、望めば子供を持てるような社会になるべきである。 同性愛者の団体が政府にそう平和的に提言したまでは良かったが、偉くて守旧的なおじいさまおばあさまがたの脳内でなぜだかおかしな条件がついて、いつのまにか、持つのは血のつながった…

悪分類 ④

勧善懲悪ものを読んだ読者が、その主人公の行動原理になっている盲目的で思慮の浅い教条的な正義よりもむしろ、動機と作戦と理想と執念を兼ね備えた巨大な悪役のほうに共感し、若干の良心の呵責を覚えつつも、心のうちでははっきりと悪の勝利を願う。悪役が…

悪分類 ③

強大で、明確な意志と行動力、忍耐力と合理性を兼ね備えており、たくましい想像力と実行力をもとに新たな世界を築き上げる寸前にまで達している、最終的な敵にふさわしい悪役は、悪であると同時に、絶大な人気を誇る。 かれらは悪だ。だがだれもかれらのこと…

悪分類 ②

意志のある悪とそうでない悪。野心のある悪とそうでない悪。まだ見ぬなにかへの想像力があり、それを現実にするためになりふり構わずに奮闘する悪と、身近な嫌がらせだけに終始する悪。呼びかたはなんでもいいが、とにかく世の中にはそういう、二種類の分か…

悪分類 ①

世の中には二種類の悪がある。分かりやすい悪と、分かりにくい悪だ。 分かりにくい悪は分かりにくい。分かりにくいので、悪として描くのが難しい。 たとえばツイッターでよく挙げられるものだと、引退した金持ちの老人が余生の充実のために採算度外視で経営…

非言語思考 ②

ひとは言語を使って思考するとはよく言われることだが、こと数学ではときに、頭の中にあるイメージをことばにするということのほうが、なかなか難しい作業になる。 数学の論文を書いたことがあればこれは分かる。証明とはかなり気を使う作業だ。論文は書いた…

非言語思考 ①

人間はつねにことばによって思考する、という言説は広く信じられているらしく、人間がほかの動物と違ってここまで社会を発展させられたのはわたしたちがことばを持つからなんですよ、などと、小さいころから繰り返し聞かされてきた。 広く信じられていること…

治癒

昨日は午前五時に寝て、十三時に起きた。ようやくの通常運転である。 五時に寝る前は二十三時に起きた。その前に寝たのは十九時で、起きたのは七時、寝たのは三時。その前は午前十時、午前四時に起き、さらにその前は成田行きの国際線の中だったので、どのタ…

オブジェクティブ ③

ファン垂涎のチケットを手に入れておきながら、ぼくはいまいち、この熱狂に乗り切れていない。 ひとつにはそれは仰角の問題である。地球上での屋内ライブで、チケットの安い二階席からの眺めがあまり良くないのと同じように、地表面のちょうど法線上に位置し…

オブジェクティブ ②

五光年の彼方のステージらしき半平面で、点たちは躍る。 境界線の向こうでは別の点たちが蠢き、同じリズムで色とりどりの光の点がちらつく。ひとりの人間の振るうライトから発されたその光は、最初の瞬間から無秩序な拡散をはじめ、ぼんやりと地球大気に拡散…

オブジェクティブ ①

数えきれないほどの黒い点が蠢いている。 いや。それは正確な表現ではない。第一に、蠢いているのは点ではなく、れっきとした体積を持つ物体である。第二に、すべての点が黒いわけではなく、中には茶色、金色、白、ときにはピンクや緑や紫のものもある。そし…

帰国

帰ってきた、日本に。 こうやって自室でパソコンに向かっていると、まるで昨日も一昨日も同じ格好でそうしていたような気がしてくるが、そんなことはない。これはたしかに日常ではあるが、ようやく戻ってきた類の日常であり、わたしがこの一週間取り戻したく…

視力 ②

回答その二。みな視力はわたしと同じくらいである。つまり、見えていない。見えていないので、当然分かっていない。 物理的、あるいは統計的にもっとも納得のいく回答はこれである。スクリーンの字は物理的に小さく、たいていの参加者の視力は矯正後でも二・…

視力 ①

学会に限らず、学術発表を聞くたびにいつも、不思議に思うことがある。スライドの字が小さすぎて、後ろのほうの席に座っているひとはどうやってあれを読んでいるのか、ということだ。 学会でわたしはたいてい、前のほうの席に座っている。会場やスクリーンの…

原理などない、と言いたい

読ませなくていいことは書かなくていい。書かなくていいことは設定しなくていい。設定しなくていいことは考えなくていい。分かってはいるけれど、考えないというのは難しい。 異常な作中世界を、新しく設定する場合の話をしよう。とりあえずそこはなんらかの…

絶食

アメリカに来て三日目である。 生活リズムはいまだにまともにならない。昼過ぎに眠くなり、部屋に帰ってきたらベッドに入って爆睡し、深夜に一度起きる。起きてネットサーフィンをしたり日記を書いたりして、さらに夜が更けてきたら再びベッドに入り、またま…

時差ボケず

眠いので十八時半に寝た。アメリカに来たてなので仕方がない。すべてを放り出してベッドに飛び込み、日付が変わる頃に一度起きて、いまこうやって日記を書いている。 要するに時差ボケである。社会の行動リズムが変化し、身体に刻まれている概日リズムから大…

人間観察

無事にホテルについた。慣れないバスを乗り継いでいかなければいけないところだったので、まずはほっとしている。 昨日はあんなことを書いたが、とりあえず身の危険は感じなかった。少なくとも、銃が取り出されているところは見なかった。田舎町とはいえ先進…