アタシの登攀は、とっても順調だった。さっきはちょっと足場が崩れたけれど、むしろ逆に、これならアタシは絶対登れる、と思った。あれくらいは訓練カリキュラムの範囲内だし、アタシは真面目に訓練を積んできたんだから。 一番の懸念事項は、登る前にすでに…
望遠鏡の中の少女を眺めながら、私は彼女がここに来た日のことを思い出していた。それは、私の望遠鏡が初めて、誰かの役に立った日だった。 春一番の吹く、暖かい春の日だった。空はあまりに青くて、私は、これなら壁の向こう側まででも見渡せるんじゃないか…
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